相手を操作する心理学に頼りたくなる自分の弱さに気づこう。

 

日々、コラムへのコメントに回答したり、
あるいは、実際に恋愛セラピーに足を運んで下さった方の相談を受けたり、
 
そんな風に過ごしていて、
 
「あぁ、この人はきっと、まだすぐには問題を解決できないだろうな。」
 
と感じる「悩み方」があります。
 
 

すぐに解決できなさそうな、悩み方とは?

 
・彼に嫌われることを言ってしまいました。仲直りするにはどうしたらいいですか?
・彼の問題が○×△■で、指摘するといつもケンカで、でも○×△■…
 で、彼にその行動をやめてもらうにはどうしたらいいですか?
・彼は幼少期に母親に○×△■で、愛情飢餓だと思います。一緒にいると辛いので…
 ○○してほしいのですが、どうしたら彼に変わってもらえますか?
 
まあこんな感じで。
要するに、心理学的なテクニックで、彼に変わってもらうことを目指しています。
しかも、彼に変わってもらいたい「動機」は、自分が辛いから、です。
 
大抵、問題行動を起こす「彼」は、愛情飢餓です。
相手のために行動を改める心のエネルギーが枯渇しています。
 
うまく行っている関係の中で、しかも、相手が心にゆとりがある状態なら、
「私が辛いので、あなたの行動を変えて下さい」というロジックが機能する可能性はあります。
 
でも、問題行動が多い彼というのは、もうすでに、心の中は自分のことでいっぱいいっぱいですから、「私が辛いので、あなたの行動を変えて下さい」というロジックは無理です。
 
 

一見大人風に、自分の悩みを偽装すると…?

 
また、自分の悩みを「偽装」する人もいます。
一見、自分が責任を持っているように、表面的に取り繕っています。
 
・彼に嫌われることを言ってしまいました。
 私の態度に問題があったと思います。
 反省して態度を改めたいと思います。
 私はどうしたらいいでしょうか?
 
 たとえば、こういうもの。
 
 でもこれ、最初の、
 
・彼に嫌われることを言ってしまいました。
 仲直りするにはどうしたらいいですか?
 
 と、全く同じことなんですね。
 
 
 同じく、
・彼の問題が○×△■で、指摘するといつもケンカで、でも○×△■…
 私の態度にも問題があったと思います。
 反省して態度を改めたいと思います。
 私はどうしたらいいでしょうか?
 
 というのもあります。
 でも結局、
 
 私が態度を改めた結果、どうなることを期待しているのかというと、
 
・彼の問題が○×△■で、指摘するといつもケンカで、でも○×△■…
 で、彼にその行動をやめてもらうにはどうしたらいいですか?
 
 最初の悩み方と、結局同じところ、なんですよね。
 私が態度を改めるのは、彼にその行動をやめてもらうため。
 
 
 
 そろそろくどくなってきましたが、
 
・彼は幼少期に母親に○×△■で、愛情飢餓だと思います。一緒にいると辛いので…
 私の態度にも問題があったと思います。
 反省して態度を改めたいと思います。
 私はどうしたらいいでしょうか?
 
 これも、一見自分の側のことを考えて、大人な態度を偽装していますが、
 結局のところ、はじめの悩み方と一緒です。
 
・彼は幼少期に母親に○×△■で、愛情飢餓だと思います。一緒にいると辛いので…
 ○○してほしいのですが、どうしたら彼に変わってもらえますか?
 
 
 こういう偽装は、もし仮に、次第に自分の人生は自分の責任、という感覚が本物になり、自己成長につながっていけば結果オーライ。ですので必ずしも悪とは言えないのですが、
 
 偽装してしまった結果、本心をさらに押し込めて、問題解決を遠くしてしまうという悪循環を生む危険性の方が、むしろ大きいんじゃないかと、私あづまは考えています。
 
 

では、根本的に異なる悩み方とは?

 
では、根本的に異なる悩み方というのは、どこが違うのか。
それは、物事の結果を堂々と受け止める、ということじゃないかと思うのです。
 
 
 
・彼に嫌われることを言ってしまいました。
 
というケースでは、「嫌だ」という感情は既に彼の心の中にあり、そこは、彼の領域であって、こちらの都合で操作することは、相手の領域に踏み込む越権行為だと自覚すること。
 
まあつまり、もし彼が一生許してくれないなら、その結果を甘んじて引き受けるという覚悟を持つということです。
 
その上で、彼がもし謝罪を受け入れる準備があるなら、こちらとしても、仮に別れに至るとしても、二人の将来のために、ベストの謝罪をしよう。その方が彼もきっと楽になるはず。
(逆に、彼が謝罪を受け入れないのであれば、それ以上無理強いしない、という大人の姿勢をとれるぐらいのどっしり構えた心を持つこと)
 
まあこれが、結果を堂々と受け止める、引き受ける、ということです。
 
 
・彼の問題が○×△■で、指摘するといつもケンカで、でも○×△■…
 
この場合も、自分の中で、彼に愛情を持って接するだけの覚悟があるのかどうか、そして、それを続けるだけの忍耐力があるのかどうか、それを考えることです。
 
浮気・借金などの、依存症的な問題行動の場合、年単位で取り組みを進めていく必要があります。それだけの忍耐力があれば、彼が最終的に変化してくれる可能性はあるでしょう。
 
しかし、指摘したり、感情的に責めたりして行動を「矯正」しようと試みるなら、それは相手を「操作」するやり方であり、うまくいかないでしょう。
 
 
・彼は幼少期に母親に○×△■で、愛情飢餓だと思います。一緒にいると辛いので…
 ○○してほしいのですが、どうしたら彼に変わってもらえますか?
 
この場合も、彼に、愛情を注ぐ役を続けていくだけの覚悟とメンタル体力が自分にあるのか。まずそれを自問することが大事だと思います。
 
 
もちろん、なんでもすぐに別れればいいってものではありません。
まずは、自分が望む結果を得るために、努力をしてみる。それは、大事なことです。
 
但し、本当の意味で悩みが解決するかどうか、というのは、今までの自分の行動の結果、そして今後自分が行動することの結果を、どっしりと構えて引き受ける覚悟ができているかどうか。
 
そこにかかっていると思います。