家事の分担ではなく、本当の問題は「頭脳労働」の分担

人間にとって本当に重労働なのは、体を動かすことではない。実際、家事を分担してほしいといっている妻も…疲れるのは肉体労働ではなくて、冷蔵庫の中を把握しておく…「把握仕事」であり、「決断する」ことなのです。

心のコンサルタント|恋愛セラピスト あづまです。
 
家事の分担に関しては、色々なところで言われるようになってきましたので、男性も少しずつ「必要なことかな?」と思うようになってきたようです。
 
しかし、人間にとって本当に重労働なのは、体を動かすことではないのです。
実際、家事を分担してほしいといっている妻も、実は家事ができないほど体がしんどいわけではない、はずです。すると、意識が「家事(という肉体労働)」の分担、に偏っていると、
 
「なんか嫌だけど、自分に(体の)余裕がないわけじゃないのに、家事を頼もうってのが、なんか甘えている気がするし・・・でもなんか釈然としない・・・」
 
となりやすいですし、実際伝えたときも、夫が言われたことを言われたとおりやったとして、結局なんだかすっきりしなくて、頼んだ方も嫌な気分、頼まれた方も、なんかあんまり重要じゃないことを、嫉妬心から頼まれたような気がして(嫉妬心とは、「私だけ損するのやだから、あんたもやってよね」という動機だという意味)、全然気分良くありません。
結果、頼む方も頼まれた方も、めんどくさいことをやった割には、夫婦仲は悪い方へと・・・なんという不毛な展開・・・
 
と、なりかねません。
 
 
では何が問題なのかというと、
 
人間にとって、本当に疲れるのは家事という肉体労働ではなくて、冷蔵庫の中を把握しておく、風呂場がどのぐらい汚くなってきたか把握しておく、といった「把握仕事」であり、
 
あるいは、今年はお金に十分余裕があるわけではないけれど、電子レンジが古くなってきた。買い換えるべきかどうか、みたいな小さなことから、子供の勉強は親が見るのか、塾に行かせるのか、家庭教師をつけるのか、といった少し重要なこと、あるいは近所づきあいのことや、実家との距離感について、転職など、といった人生上の大きなことまで、何かを、「決断する」ことなのです。
 
まとめると、つまり、「頭脳労働」なのです。
(あと、気持ちを受け止める的な「感情労働」も実は結構大変なのですが、この記事では「肉体労働以外」という意味で、感情労働も頭脳労働に含めて議論することにします)
 
 
冷蔵庫の中身を把握していて、何かが少なくなったら自発的に買う、という「家事」と、
冷蔵庫の中身なんか何も分からず、奥さんに言われたらその通り買う、という「家事」と、
冷蔵庫の中身なんか何も分からないくせに、適当に買い物してくる、という「家事」では、
 
同じ「家事」であり、同じ「買い物」という名前がついていても、その仕事のクオリティーには天と地ほどの差があります。
 
また、ある調査で、夫が家に居ると、妻の家事労働の時間が長くなる、という結果がありました。人が家にいると、どうしても色々と作業が増えるわけですね。
 
上司が部下に仕事を依頼して、本当に助かったと思うのは、上司の時間を節約できたときですよね。部下は「仕事をしました」と言うかもしれないけれど、とにかく覚えが悪いやつで、上司は教育に時間を割かなければならず、結局お前がいない方が円滑に回るよ、という部下だったら、雇い損です。
 
逆に、さっさと仕事を始めてくれるんだけど、やたらミスが多かったり、言われたとおりにしかできなくて融通が利かず、そのチェックに、結局上司の時間がとられる部下も、微妙です。なぜなら、上司の時間が節約できた分=部下の成果、だからです。
 
話を家事に戻しますと、
妻の時間が節約できた分=夫の家事貢献、と考えれば良いと思います。
 
無意識にずっと把握していなくてはいけない冷蔵庫の中身、家の各所の汚れ具合など、こういう把握仕事の「時間」は計算しづらいですが、これを「二人でやろう」とすると「把握仕事」が倍に増えるので、私はあまりオススメしません。こういうお粗末も、頭脳労働こそが一番の重労働、ということへの無理解から生まれる考え方だと思います。
 
把握仕事については、お互いに「それが大事である」という理解があること、まずはこれが大事だと思います。そして、重複して仕事をしないように、分担を決めた方がいいでしょうね。「二人ともが把握している状態になろう」というのは、同じ仕事を二人が重複してやろう、と言っているのに等しいですから。
 
 
分担は、各家庭での事情に基づいて決めれば良いと思うのですが、
そもそも、何を分担するのか、何を「負担」とみなすのか、という時点でズレていると、非常に不公正な分担をしてしまう可能性があるので、
 
・家事という肉体労働
・家庭内の状態を把握する「把握仕事」という頭脳労働
・家庭内の大事なことを「決断する」という頭脳労働
 
それぞれについて、まず夫婦が「大事なことである」という認識を共有すること。
そして、その「大事なこと」を分担する、ということ。
把握仕事の重複を避ける采配も含め、仕事を効率的にしていくようにこそ、頭を使うこと。
 
それが、土台として大事なことだと思います。
 
今日は心理学というより、実際的な話でしたが、結構この点、気づいていない人が多いように思いますので、あえて書こうと思いました。
 
ではまた!