【ココヘル735】恋愛ドクターの遺産第一話(7)サンドバッグの結論2〜3

 

★女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学 735号 2016.12.15
 
こんにちは。あづまです。
いつも読んで下さってありがとうございます。
 
 
 
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現在は、私の伝えたいセッションの理想を、
小説風にしてお伝えしようと、
作品を書いています。まあ、読みものとして
楽しんで頂ければと思います。
 
また、少しまとめて、解説を「ココヘル+」の方で書きたいと
考えていますので、物語だけではなく、心理学の学びがほしい、
という方は、そちらも合わせてご活用ください。
 
ココヘル+
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前回までのあらすじ
 
離婚の危機で悩んで父親に相談したゆり子は、
伝説のカウンセラーで「恋愛ドクター」の異名を取る祖父(故人)の
ノート「恋愛ドクターの遺産(レガシー)」を父から渡された。
そのノートは小説になっていて・・・
今回はクライアントのこばやんのセッション最終回間近、こばやんの側の
原因には「仕事ストレス」からの「罪悪感」や「無力感」があり、
ゆるしのワークで解消。そしてドクターはこばやんの妻の側の愛情飢餓を
指摘。こばやんがサンドバッグになるという行動課題を提案。
そしてその結果は・・・?
 
【登場人物】
(現在の人物)
 ゆり子 父からノートをもらった。離婚するかどうか悩んでいる
 幸雄 ゆり子の夫。 仕事はできるが共感力のない人。
(ノートの中の人物)
 恋愛ドクターA ゆり子の祖父(故人) ノートを書いた本人
 なつを ドクターの助手
 こばやん 今回のクライアント 妻に離婚を突き付けられ相談に来た。
 
 
 
恋愛ドクターの遺産(レガシー)(7) サンドバッグの結論2〜3
 
次のこばやんのセッションは、劇的だった。
 
「先生、報告があります!」こばやんが開口一番、
これまでで一番大きな声を出して言った。
「どうしました?」ドクターはいつも通りの調子だ。
「カミサンが帰ってきました!やり直そう、いうことになってます!」
「おー、それはおめでとうございます・・・というか、多分色々あった
と思うんですが・・・頑張りましたね。」
「えぇ、ほぼ先生の予言通りでした。」
 
予言通り、と言われて、ドクターは少し得意げな表情うかべた。
しかし、すぐに優しげな表情に変わって、こう続けた。
 
「常に、現場で頑張る人が一番大変です。こばやん、これは、あなたが
起こした奇跡ですし、あなたの成果です。胸を張って、人生の貴重な
「武勇伝」にできます・・・あ、言い過ぎですかね?」
こばやんとドクターはふたりでわはは、と笑った。
 
「でも先生、ようやく再びスタートラインに立ったぐらいじゃないかと
思うのですが。」こばやんが真顔に戻って言った。
「そうですね。でもまずは、ちゃんとスタートラインに戻って、再出発の
準備が出来たことを喜びましょうよ。」
「賛成。」
「何が効果的でした?ちょっとその、成功の秘訣を教えてくださいよ!」
先生は無邪気な子どものように、興味津々、という雰囲気で尋ね始めた。
 
なつをは以前、先生のこの、「興味津々モード」について質問したことが
ある。先生はときどき、子どもみたいに興味津々で色々質問をすることが
あるけれど、それは、興味本位なのか、それとも演技なのか、と。
先生の答えはこうだった。まあ、ある程度自分が興味を持つ範囲をセッション
の時には決めている、と。クライアントの問題解決に役立つことに興味を
持つように、自分自身を持っていく、とかそんな感じだった。ということは、
ある意味演技とも言えるのかな、となつをは解釈していたのだが、こうして
無邪気に尋ねる先生を見ていると、とても演技には見えなかった。
 
(これを天職というのかもしれない・・・)
なつをはそう思った。
 
こばやんは、しばらく考えて、こう答えた。
「いや、ほんま、先生に言われた通りですわ。サンドバッグになる、
いうイメージを持て、て言わはったんで、その通りにしました。」
「やってみて、何か気づいたことはありましたか?」
「そうですね。今までは、自分が責められてる、自分が悪いと言われてる、
と、そこしか考えられへんかったんです。せやけど、サンドバッグに
なってカミサンの話を聞いてみたら、なんだか、怒っている、私を責めて
いるというより、救いを求めているように見えたんです。」
ドクターは深く二度うなずいた。
 
「そうですか。」
あぁ、もう、卒業だな、となつをは思った。目の鋭さが消えていたからだ。
先生が「これから解決してやるぞ」と、心の腕まくりをしているときは
・・・「心の腕まくり」とは本人が時々実際に使う言葉だ・・・優しい
口調、優しい表情をしているときでも、独特の鋭い眼光がある。
心の奥底まで見透かすような、洞察眼だ。でも今の先生は、
本当にリラックスしているように見えた。
 
「たぶん、もう解決に向かっていくとは思うのですが。」
ドクターは続けた。
「念のため、より確実にするための行動課題を
提案させて頂きたいんですが。」
 
「いいですよ。でも、その前に、ええ話ですんで、
ぜひ先生にも聞いて頂きたいんです。」
「それは失礼しました。ぜひどうぞ。お願いします。」
 
「実はカミサンから、こんなことを言われたんですわ。
『私は子供時代から、不安で、私を愛してくれる人はいない、と感じて
育った。でもゆうさん(こばやんは奥さまからそう呼ばれている)と
出会って変わった。でも、仕事が忙しくなったりして、どうしても
「ゆうさんも私を見放すのか!」って想いが強くなって、家で一人で
考えていると、どんどんそう考えていって、自分でも止めようがなく
なってしまった。ゆうさんに当たるのはお門違いって分かっていても、
止められなかった。ゆうさんが怒鳴ったとき、もうあとは絶望しかない、
私の人生は、って思ってしまった。こんな自分が嫌いだ。』と、
こんな感じの話でした。」
 
「なるほど・・・奥さまも、感情的になるのを抑えられない
自分自身を、自己嫌悪されていたのですね。」
「そのようでした。でも、そうやって話を聞いていたら、
突然抱きつかれたんですわ。」
 
「おぉ!それはおめでとうございます。」
 
なんて脳天気なんだ、となつをは思った。奥さんが苦しんでるのに、
抱きつかれておめでとう、って。
しかし、こばやんには響いたようだ。
 
「そうなんです!ありがとうございます!」
 
「それで、奥さまは何て?」
「泣きながら、『もう一度やり直したい。』て。」
 
「そうですか。それはよかったですね。」
ドクターは握手の形に、右手を差し出した。こばやんもその手を握り、
ふたりで固く握手を交わした。
なんか、男同士のノリだな、となつをは思った。女性からすると、
まだ完全に解決していないのに、ちょっと喜ぶのが早すぎるし、
ノリが軽すぎると感じるが、一方で、うらやましくもあった。
 
「でも先生、これでスタートラインだと思っているんですが。」
「まあそうですね。希望の人生への、スタートラインですね。」
ふたりはわはは、と笑った。
 
「では、私の考える、この変化を確実なものにする、
行動課題を発表します。」
「お願いします!」
 
なんだか、深刻な悩み相談のはずだったのに、盛り上がってきている。
なつをは不思議な感覚で見ていた。以前先生から「別に暗くなれば解決
するってものではないから、明るく解決できるのなら、それが一番いい。」
と聞かされていたが、それにしても明るすぎる。こんなにわはは笑いを
しているセッションは、他では見たことがない。
 
「奥さまに、謝ってみましょう。」
「わかりました。サンドバッグですね。」
 
「いや、それとはちょっと違います。もうサンドバッグみたいにされる
ことは、そんなにないでしょうし。」
「そうかもしれないですね。」
 
「具体的な方法の前に、少し原理を説明します。まず、目的ですが、
奥さまの過去の痛み・・・この場合は幼少期に愛されなかったという記憶
・・・を解決する、和らげる、というのが目的です。」
「分かりました。」
「そして、癒しを起こす、原則を説明します。」
 
そこでドクターは、ホワイトボードに図を書き始めた。ドクターの説明は
こうだ。人の心の中には、過去の自分がいる。その過去の自分は、その当時
の痛みを、未だに持っていることがある。でも、人は日頃はそれにフタを
していて、気づかないようにしている。過去に「愛されなかった」体験を
した人は、人一倍「愛されたい」と思ってしまったり、フタをしていても、
ごまかしきることは出来ず、心の奥底の思いはじわじわとにじみ出てくる
ものだ。これを癒すためには、
(1)当時の記憶を思い出す
(2)同時にプラスのエネルギーを感じる、
というふたつの要素が必須で、どちらが欠けてもだめだ。
 
「奥さまは、愛されたかったが、叶わなかったという幼少期を過ごされて
いたわけです。そこで、たとえばこんな風に言ってあげてください。
 『キミがずっと愛情を求めていた、というのは、子供の頃の話を聞いて
知っていたのに、さらに、寂しい思いをさせてごめん。これからは、
とにかく、大事にする。』そんな感じで。」
 
こばやんは、メモを取りながら復唱していた。
「分かりました先生。これでカミサンの痛みが癒されるわけですか。」
「えぇ。少しだけ、過去のことに言及して、そうすると、過去の記憶を少し
思い出します。どっぷりがっつり思い出すとコントロールが難しくなるので、
そっと触れるぐらいがいいでしょう。そして、そこにこれからは大事にする、
というプラスのエネルギー、承認のエネルギーをあげる。こういう関わりを、
コツコツ、じわじわと実践していくと、奥さまの子供時代の愛情飢餓も、
次第に埋まっていくと思います。」
 
「分かりました先生! 必ず実践します。」
「はい。信じてますよ。大丈夫です。」
 
 
(つづく)
 
 
こちらにもアップされています。
まとめ読みには便利かも・・・
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◆編集後記
 
今週末は矢野惣一さんの講座に出席。
12月もすでに半ば。今年もあと半月ですね。
良いお年を〜(まだちょっと早い、笑)
 
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 祝!TBS・日テレ・フジテレビ出演(目指せNHK!)
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