草食系男子を攻略したい貴女へ

「草食系男子」あるいは「草食男子」と言われる、新しいタイプの男性が最近増えています。彼らを攻略する上での難しさは、自分から向かってこないこと。いわゆる「駆け引き系」のテクニックも、相手に「いい女を手に入れたい」という「欲」があるからこそ機能するもの。なんだか欲がなくて落ち着いちゃってる。そんな草食系男子にアプローチしたいという女性のあなたに向けた、辛口アドバイスを書いてみました。

「草食系男子」あるいは「草食男子」と言われる、新しいタイプの男性が最近増えています。彼らを攻略する上での難しさは、自分から向かってこないこと。いわゆる「駆け引き系」のテクニックも、相手に「いい女を手に入れたい」という「欲」があるからこそ機能するもの。なんだか欲がなくて落ち着いちゃってる。そんな草食系男子にアプローチしたいという女性のあなたに向けた、辛口アドバイスを書いてみました。
 

草食系男子の特徴

草食系男子の特徴とは、以下のようなものに象徴される、おとなしくて、いわゆる「男らしさ」にこだわらない安定志向の男性のことです。
 
・ビールで乾杯より好きな飲み物優先
・スリムで小食
・スイーツ大好き
・おしゃれに関心
・エコに熱心
・親と仲良し
・ケータイを手放さず
・ホテル代もワリカンに
(2009年2月17日読売新聞より)
 
 

草食系男子が目の前に現れてしまう原因

草食系男子が目の前に多いように感じる原因には、次の五つがあるように思います。厳密に調査したわけではありませし、あくまで私の経験の範囲ですが、心理学的な考察と、実際に草食系男子を求めて実らないというパターンを持っている女性の方の相談を受けて感じたことを元に書いています。
 
1.男性が「勝てない」社会になっている
2.あなたが、無意識に男性を怖れている(信頼していない)
3.相手が、あなたに欠けている役割を無意識に補っている
4.実際に、ガツガツしなくてすむ状況がある
5.もっと怖れていることがある(お金、出世etc.)
 
では、順番に見ていきましょう。
 
 
1.男性が「勝てない」社会になっている
 
男性が、性ホルモンの分泌が活発になって、恋愛に向かってやる気満々になるのは、「勝ったとき」と言われています。「英雄色を好む」ということわざがありますが、勝ち組に入るとき、男性ホルモンであるテストステロンが分泌されて、恋愛感情も開くのが男性です。ということは、「平等で」「勝ってはいけない」「おとなしく、身の丈にあって生きる」なんて生き方をしていると、恋愛感情も性欲も湧かない、そういう危険性があるということです。
 
これは、道徳的や政治的に良い悪いの話ではなく、人間が生物としてどのようにできているかの話です。
 
現代社会は、男性が自分らしく一番を目指すことも難しく、女性に対して能力的に優位に立つ(=女性の役に立てる)ことも難しいですから、特に自立した「強い」女性に囲まれてしまうと、男性が性的に萎縮してしまう可能性があるのかもしれません。
 
 
2.あなたが、無意識に男性を怖れている(信頼していない)
 
押しの強い男性は性欲も強い可能性が高いですが、こういう男性を無意識に避けていると、草食系男子ばかりに意識が向くことがあります。
 
実際、おとなしい男性を選んで、いつまでもプロポーズしてくれないといって腹を立てたり、結婚したけれど頼りなくて腹を立てている女性の中には、父親が横暴な人で、
 
「少しでも父に似たところを持っているオトコは絶対にイヤ!」
 
という気持ち(父に対する怒り、反抗心。まだ解決していない!)があまりに強いために草食系男子を選んでいる女性もいます。残念ながら、愛からではなく、怒りや反抗心といったネガティブな感情が動機となって相手を選んだ場合、幸せにはつながりません。
 
無意識の中にある、男性を怖れている気持ち、男性不信の気持ちをしっかり浄化することが大事です。場合によっては心理セラピーの利用も役立つことがあります。
 
 
3.相手が、あなたに欠けている役割を無意識に補っている
 
これは、心理学でも比較的新しい考え方ですが、人が二人以上集まると、お互いに相手に欠けている役割担い合い、補い合うようになる、という現象があります。
 
たとえばあなたが、「自分がどんどん話すので相手の話をじっと聴くことができない人」だったとすると、あなたと相手の間には「話を聴く人」という役割が足りなくなります。すると自然に相手が聞き役を担うようになるのです。
 
イニシアチブを取って、リードして、責任を持って決定する、というような役割を男性に期待しているのに頼りない男性ばかりだと感じるあなたの場合、
 
イニシアチブを取ってもらう側、リードされる側、相手にゆだねる側、という役割をあなたが嫌っていて、無意識のうちに相手にイニシアチブを取らせないようにしていることが、本当の原因かもしれません。
 
何もせず、相手の意思に任せ、待ってみる。そういう行動が無理なく、焦りなく、穏やかな気持ちでできるように成長したとき、相手がイニシアチブを取ったり、リーダーシップを発揮したり、責任を持って決めごとをするという、言わば「空きポスト」ができるのです。
 
逆にあなたがそのポスト(地位)を占めている限り、あなたより元々気が弱いであろう草食系男子はそのポストに入ってくることができません。逆にあなたより気が強い人だったら、ケンカになりますよね?
 
まとめると、この原因の場合、あなたの周りには、草食の、受け身の役割しか空いていないということになります。自立した女性が陥りやすいパターンです。
 
 
4.実際に、男性がガツガツしなくてすむ状況がある
 
これは、草食系男子が多い理由としてよく言われることですが、私はあえて理由の最後の方に置きました。というのも、私自身が、相手(女性)によって積極的になるときと、消極的になるときがあると感じているからです。真性の草食系男子もいるとは思うのですが、女性側の要素で「草食系に見えている男子」も多いのではないかと思うからです。
 
さて、それを前提として、男性がガツガツしなくてすむ状況について考えてみます。
 
人間は、ネガティブな感情が強い、つまりストレスが多い状況ほど、その反動で快楽を求める衝動が強くなるようにできています。もちろん、ストレスも限度を超えると気力が失せてしまいますが。
 
家族も学業も仕事もそこそこ満たされていて、それ以上ガツガツしなくてすむ状況があれば、快楽を求める衝動はそれほど強くはならないと思います。また、10代は非常に強い性衝動を感じるものですが、30代ぐらいになると次第に性衝動そのものが弱くなって(枯れて)きます。
 
生身の女性がいなくても、AVを見ながらマスターベーションするなどして性欲を解消する手段も多いですから、ガツガツしなくてすむという状況は、確かに存在するのだと思います。
 
 
5.もっと怖れていることがある(お金、出世、女性etc.)
 
実は、人間は自分が一番怖れていることを避けるように行動しているものです。
表面的には「仕事が好き」と言っていても、本当はお金の心配がなかったらのんびり過ごしたいと考える人は多いものです。会社も仕事へのモチベーションを高める従業員管理の科学的方法を駆使していますから、いつのまにか「仕事が好き」と思わされてしまうこともあると思います(私がそうでした)。
 
女性に分かりやすく、女性のたとえで書きますが、★10代の頃は仲間はずれになることを【怖れて】、友だちと同じ話題が持てるよう、見るテレビ番組やファッション雑誌を合わせ、★仕事をするようになると、職場で周りから認められなくなることを【怖れて】、仕事に夢中になり、★気づくと出産年齢のリミットが【迫ってきて】いて、婚活に一生懸命になる、という行動パターンの女性は少なくありません。
 
もちろん、その時その時で、楽しいこともあり、ポジティブにとり組んでいることも色々あるわけですが、一番怖れていることを避けるように行動する、というのは人間の行動の根本をなしているものです。
 
草食系男子の場合は、お金の心配をしていたり、仕事面でちゃんとやっていけるかどうかの心配をしていたり、あるいは、恋愛をしたり、さらには結婚をしたときに相手の女性から自分のふがいなさを責められやしないかと心配していたりすることがあるかもしれません。
 
もちろん、このような心配は、自分で乗りこえなくてはならないものですが、知っておくと彼を理解する一助になるでしょう。
 
 

原因別の対策

 
1.男性が「勝てない」社会になっている
 
男性にとって「勝った」というのは、必ずしも経済的な勝ち組になることだけではありません。自分にとって「素敵だ」と思える女性から尊敬のまなざしを向けられることも、十分「勝った」経験になります。
 
社会を変えようとするのではなく、今草食系に見えているその彼に、尊敬のまなざしを向けてあげましょう。素敵な女性から尊敬のまなざしと共に「スゴイね♪」と言われて、やる気のでない男性はいません。
 
 
2.あなたが、無意識に男性を怖れている(信頼していない)
 
この場合、厳しいようですが、女性に対して過度に消極的になっている男性を既に選んでしまっている可能性があります。典型的には母親の過保護、過干渉などで自主性を奪われていて、自信がないという男性です。
 
自分らしく生きることをあきらめて、自己犠牲している結果、波風が立たず、家族が表面的に仲良く見えると言うこともあるのです。ポイントは彼が自分らしく生きているかどうかです。
 
彼が自分で物事を決め、自分で行動して自分でその責任を取るという大人の習慣を身につけるまで、それを応援して側で支えてあげられるでしょうか?
 
というよりむしろ、そのような男性を選んでしまうあなたの心と向き合うことが大事だと思います。元気があり、勢いのある男性を選べない心を持っているとしたら、今の彼と別れたとしてもまた同じような相手を選んでしまいますから。
 
こども時代に作られた、あなたの心の中にある、男性に対する怖れを解決する必要があります。これは、心理セラピーがとても効果的な分野です。
 
 
3.相手が、あなたに欠けている役割を無意識に補っている
 
この場合は、勇気を出して、あえてあなたが相手に頼ること、相手にイニシアティブを取ってもらうことをしばらく継続的に続けてみることが役立ちます。現実に頼りない感じがする相手なのかもしれませんが、まずは、相手のペースに合わせてみることです。
 
それから、あなたの側には、彼の失敗を許容する度量が求められます。なぜなら、草食系の彼には自分で行動するように成長する必要があるわけですが、失敗できないというプレッシャーがあると人は萎縮して成長できないからです。
 
男性は女性から責められることを、女性が想像する以上に怖れていますから、失敗しても丸ごと受け止めるぐらいの広い心を持って彼を見守ってください。
 
そうやってあなたの見守りの元、成長できた彼は、頼もしく変貌し、しかもあなたの見守りのおかげで成長できたことを感謝し続けると思います。
 
逆に、尻を叩くようなコミュニケーション、ネガティブな感情によるコミュニケーションが多い場合は感謝されませんのでご注意。
 
 
4.実際に、男性がガツガツしなくてすむ状況がある
 
私はこの理由は、見せかけだと思っています。
本当の理由は上の1?3の中にあると考えているのです。
 
それに、もし本当にこれが理由で、彼があまり欲のない男性なのだとしたら、対処のしようがないじゃないですか。欲がないのなら、行動を起こさせることもできないですし、現状で満たされていて、変化する必要がないのなら、そのままでいることが幸せですから。
 
但し、本人も「欲がない」と感じていても、心理学的には「抑圧」と言われる、欲を飲み込んでフタをしてしまった状態というのも存在します。我慢している感じではなく、もうあきらめて、脱力した状態という方がぴったりだと思います。
 
その状態の場合、身近にいい女をつかまえて調子に乗っている男友達がいたり、結婚してますますパワーアップした同僚がいたりすると、うらやましくなってきます。(本当に欲がないのなら、そこで何も感じないはずなのです)
 
こうした、自分より幸せな状況を見てうらやましさ、嫉妬心を感じるというのも、モチベーションを上げる意味では効果があります。
 
彼を連れ出して、(意図が見破られるといやらしいと思われますから)さりげなく幸せなカップルと会わせてみるというのも、効果があるかもしれませんね。考えてみると結婚式二次会で出会うとカップルが成立しやすいと言われるのも、うらやましいと思うと恋愛・結婚へのモチベーションが上がるからなのでしょうね。
 
 
5.もっと怖れていることがある(お金、出世、女性etc.)
 
この場合、あなたができることは、「私(女性)はあなた(草食系男子)を責めないよ」という有言、無言のメッセージを送り続けることでしょう。
 
私も経験がありますが、お金を稼げなくなることの不安がずっとあって、それをずっと掘り下げていったら、結局「奥さんの悲しい顔を見たくない」ということが根本の動機だったのです。
 
今も相変わらずお金を稼げなくなることの不安はありますが、少なくとも奥さんはそのことで私を責めたりしないことが分かって以来、不安はずいぶん軽くなりました。
 
だから、この場合あなたにできることは次の2つです。
(1) 本質的にはそれは彼の課題なので、黙って見守る
(2) 但し、彼が失敗しても「私はあなたを責めないよ」という有言、無言のメッセージを伝える
 
 

結局、大事なこと

 
草食系男子を攻略するために、結局大事なことは、まず自分の心と向き合うことです。
何か怖れを抱いていて、そのおとなしい彼を選んでいるのではないか?
私が取ろうとしない役割を、彼が無意識にとってしまっているのではないか?
 
そしてあなたが、ありのままの彼を受け入れられず、彼を変えようとしているのなら、それは彼を愛しているのではなく、あなたの心の中にある理想の男性像を彼に投影しているだけだということに気づく必要があります。自分の思い通りに行動してくれるからという理由で草食系男子を選んでいるとしたら、それはとんでもない話です。彼はあなたのペットではありませんし、そのような動機で相手選びをしても、長い目で見れば、幸せにはつながりません。
 
少し高度な話にはなりますが、結局、あなたが取っている態度や立場が、周りの人に与えている影響(例:自立した女性の周りに、やや頼りない男性が集まる、など)も考慮に入れた上で、今の生き方を本当に続けたいかどうか、それを問い直すことが、一番大事なことなのです。
 
もちろん、色々心配事があってなかなか前に進めない彼を、優しくサポートしてあげたいと考えているのなら、それはとても素敵なことですね。その場合も、このコラムをもう一度よくお読みになり、彼の課題を奪わないように、見守るべきところは見守り、その一方で「わたしはあなたを責めないよ」ということをちゃんと伝えていくことが大事になると思います。
 
優しさと穏やかさを持った草食系の彼との恋愛、そして結婚生活が実り多きものになりますようにお祈りいたします。