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神さま、私にお与え下さい
変えられないものを受け入れる落ち着きを
変えられるものを変える勇気を
そしてそのふたつを見分ける賢さを。
(平安の祈り)
私たちが生きていて、やはり基本となるのは、自分の責任で人生を切り開いてゆくこと。自分の行動を通じて、現状を変えてゆくことが、大事であることは、間違いありません。
しかし、どんなことでも、思い通りになるかというと、実は、どうしても思い通りにならず、その苦しい現実を受け入れて生きていくしかない局面も、人生にはあります。もがき苦しむよりも、思いを手放して、現実を受け入れて生きることの方が必要な場面もあるのです。
先日、NHK教育TVで、セクシャルマイノリティーの方が自殺を考える率が、そうでない方が自殺を考える率の6倍近くあるという話を知りました。
私はセクシャルマイノリティー(ゲイ・レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダー:総称してLGBTといわれます)の専門家ではありませんので、細部で詰めの甘い話があるかもしれませんが、何も言わないと、何も変わらないので、今思うことを書いてみたいと思います。
番組ではゲイの方が、自分が男なのに、男性が好きになる性的嗜好があって、それですごく悩んで、家族にさえ受け入れてもらえない(姉と母がレズビアンをあざ笑うような会話をしていたのを聞いてしまったことでショックを受けて、もう絶対に話せないと思ったそうです)と感じて、とても苦悩した話が取り上げられていました。
スクールカウンセラーのところにも相談に行ったけれど、カウンセラーの先生は「あなたがゲイとして生きることを『選択する』のなら応援します」と言ったそうです。
自分は、そういう生き方を選択するわけではない。
もともと、今のような性的嗜好があり、自分で選べたわけではない。
この先生も、やっぱり分かってくれないんだ・・・
そう感じたそうです。
多くの問題は、「自分には出来ない、解決できない」と思いこんでしまっているところから、自分に責任を取りもどし、自分の力で何とかしようという気持に持ってゆくことで解決するものですが、
本当に、自分の力では変えられないものもあります。
そのような場合、周りのサポートは、本人に責任を負わせる方向で行うものではないのです。
エリザベス・キューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」がとても参考になります。
人が、受け止めきれない重大な事実に直面したときの反応は、エリザベス・キューブラー・ロスが接した、死に直面した患者たちの反応と基本的には同じものです。
1.否認
2.怒り
3.取引
4.抑うつ
5.受容
始めに、「そんな問題はなかった」と考えます(否認)。または、目をそらしていればいつか何かが変わるのではないかと空想します。
しかし、そうではないことに直面せざるを得なくなると「なぜ私がそんな目に遭わなければならないのだ!そこのあいつじゃなくて、どうして私が!」と怒りが湧く段階が来ます。
その次に、どうにかしてこの運命から逃れられる方法はないかとあれこれ探します(取引)。
しかし、やはり逃げ道はないのだと悟ると、今度は、永遠の別れに備えて心の中でお別れをしていきます。悲しみの感情(喪失感)を感じ切って吐き出す必要があるのです。この時期を抑うつといいます。
そして、最後に死への準備が整う「受容」の段階があります。この段階では、あまり他者との積極的なコミュニケーションを望まないこともあります。
NHK教育で取り上げられていた、ゲイの方のスクールカウンセラーの人が、もしも、受け止めきれない重大な事実に直面したときの人間の反応と、それに対する周りのサポートの仕方を知っていたなら、もう少し違った対応が出来ていたでしょう。
セクシャルマイノリティーである事実を受け入れて生きていくことは、ある部分では死を受容する旅に似ていて、ある部分では異なっています。重大な事実で、すぐには受け止めきれないという部分では似ていますが、死ぬわけでもなく、その時に思いこみやすい「誰からも受け入れられない」ということも、事実ではないのです。
もしこのコラムをLGBTのご本人の方が読まれていたら、誰か、気持ちに寄り添ってくれる人を見つけてください。身近な人で見つけられるのが一番幸せですが、できなければカウンセラーなどの専門家でもよいと思います。そして、自分の感情をしっかりと感じきって吐きだしてゆき、最後は、希望を持って生きられるようになるといいですね。
逆に、周りにLGBTの方がいらっしゃる場合は、周りのサポートとして、本人を決して見捨てないことが大事です。特に我が子がレズビアン・ゲイであるという場合などは、サポートするための心の強さとゆとりを持つために、むしろ親がセラピストやカウンセラーのサポートを受けた方がよいかもしれません。本人は親に受け止めてもらった方が何倍も気持が楽だと思いますので。
ここまで、LGBT(セクシャルマイノリティー)の特集を見て感じたことを書きました。
変えられない宿命のようなものを、受容して生きることは、決して簡単なことではないと思います。ただ、全く道がないわけではないのです。
人は、自分の感情をしっかり表現して、なおかつ、見捨てずに受け止めてくれる人に囲まれていれば、どんな境遇でも幸せを見つけて生きていけるものです。
変えられない宿命を背負ってしまったと感じる方へ。
引きこもりたくなる気持ちを持ってしまうのは、分かります。それでもあえて言います。今感じているさまざまな感情や絶望も、絶対的なものではないのです。まずは、どこかに味方がいると信じてください。そして自分のペースで、人とつながっていってください。
神さま、私にお与え下さい
変えられないものを受け入れる落ち着きを
変えられるものを変える勇気を
そしてそのふたつを見分ける賢さを。
(平安の祈り)
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