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「叱る」とは「あんた不幸に向かってるよ」と諭すこと

相談を受けていると、親は全然ほめてくれなかった、怒られるばかりだった。
そういう主張を聞くことは多いものです。

確かにその通りなのでしょう。

但しここで私は、本当の意味で、自分の成長につながる形で、怒られたり、叱られたりする経験を積んでいない人は、意外と多いのではないかと主張したいのです。

本当の意味で叱ってもらえていない人が多い、ということ。


本当の意味で叱るというのは、なかなか難しいことです。
本人の成長を心底考えていないと、叱れないですから。

子供の成績がよかったらほめる。悪かったら叱るという親は多いですが、
将来生化学の分野に進みたいという本人が、生物や化学を要領よく勉強していい点を取ったとして、大抵の親はそこでほっとして安心してしまうわけですが、本当は「目先の点数ではなく、10年後にも忘れない、一緒の糧になる勉強の仕方をしろ」と言わなければいけないわけです。

あるいは、これは京セラの稲森和夫氏の本に書いてあった話ですが、社用車で出勤するときに奥さんがたまたま同じ方向だった。「乗っていくか」と声をかけたら、会社の車なので私用には使わないとの返答。これは一本とられた、という話。自分の利害や都合よりもきちんと筋を通していますね。


親からよく怒られたという話は、よく聞きますが、
親が怒る理由の多くは、親の都合です。
「これ以上要求されても答えられない、もうめんどくさい。」
「部屋が汚い。掃除するの、誰だと思ってるの!」
「おやつはもうないよ。わがままばっかり言うんじゃない!」


ここでは「怒る」と「叱る」の言葉の意味についての話はしません。理由は、ひとそれぞれ違う意味で使っている、混乱の多い言葉なので、言葉を定義しようとすると、本題から外れて言葉遊びになってしまう懸念があるからです。

その代わりに、すこし長い言い方ですが、
「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
「私はいま、困ってるんだ。その行動やめてくれ!と苦情を言う叱り」
という二種類の「叱り」を使って説明していきます。


上に「親が怒る理由の多くは、親の都合」と書きましたが、「私はいま、困ってるんだ。その行動やめてくれ!と苦情を言う叱り」と同じことです。


ここで、誤解しないでほしいのは、「私はいま、困ってるんだ。その行動やめてくれ!と苦情を言う叱り」も必要だということです。これが悪いものだと言いたいのではありません。


もちろん、一定の「叱り方」の配慮は必要です。
恐怖しか記憶に残らないような大声での怒鳴りであるとか暴力では、仮にどんなに真剣に「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」をしたとしても、マイナス効果が大きすぎます。

その上での話ですが、


ここで私が問題にしたいのは、
「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
を経験していないこと、です。


私の信念ですが、親は感情込めて怒ったっていいと思いますし、自分の都合で怒ることだってあります。冷静に言った方がいいなんて気取って、イヤミになり、相手の心が冷えるような冷たい言い方になるぐらいなら、熱く怒った方が千倍マシだと思っています。


でも、ひとつだけ、
「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
これを【しない】こと、つまり相手が、自分の人生を歩むことをあきらめて、間違った方向に進もうとしているときに、本気で「戻ってこい」と言わないこと。

そのことが一番、冷たいことだと思うのです。


表面的に柔らかい人で、
声を荒げない人で、
下品で荒っぽい言葉を使わない人で、
相手をほめることが多い人であっても、


「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
これが出来ない人というのは、やはり落ち度があると思います。


むしろ、

荒っぽい感じがある人で、
下品な言葉も使う人であっても、
「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
が出来る人の方がよほど優しいし愛情があると思います。

まあこういう人の場合、
「おまえなぁ、その生き方違うぞ。もっと自分を大切にしろ!」
ぐらい荒っぽく言うかもしれませんが。

人生の道を踏み外して、不幸に向かおうとしているときに、
「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」
これをしてもらえることが、本当の意味で「叱ってもらえた」ということです。

これに当てはまらない形の「怒られ」や「叱られ」が全て無意味だということではありませんが、「あなたはいま、不幸に向かってるよ。戻って来なよ!と諭す叱り」を経験することは、必ず必要です。


いま、ご自分の人生を振り返って、ほめられたことや叱られたことについて考えている方へ:
本当の意味で叱られた経験が自分にはあるかな? どうか、そのこともよくよく考えてみてほしいのです。






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コメント

初めてコメントさせていただきます。

20年近く深く付き合ってきた親友がいました。

実は彼女は精神的な問題を抱えていて、現在カウンセリングを2年前から受けています。
ずっと彼女の味方で一番の理解者であったはずの私が、ずばり彼女の問題点を言ってしまったのです。彼女の抱える問題は彼女の人生を台無しにする行動に及んでいたのです。

私にとっては先生のおっしゃる「間違った方向にいってるよ」ということを伝えたかったのですが、私の言い方が悪かったので「私の言動は悪意であることに気づいた」と言われました。
もちろん心から謝罪すると共にずっと親友だと思ってるからまた連絡してほしいとメールを最後にして2ヶ月以上が経過しましたが、彼女から連絡はありません。

やはりずっと彼女から連絡が来るまではそっとしておくのが適切なのでしょうか?
私の存在が逆に彼女にはプレッシャーになっていたのかとも考えてしまいます。
たとえ彼女と2度と話さないことになったとしても、彼女にとってのベストを心から願っています。
カウンセラーのあづま先生からアドバイスいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

投稿者 N : 2011年5月 7日 12:32

Nさん

コメントありがとうございます。

まず、この記事は「自分が『叱られた』と思っている体験」について見つめてもらうために書いたものです。

主旨違いのご質問であることを指摘しておきます。


それから、大人同士の関係において、叱ったり諭したりするのは、本当に難しいですね。相手に受け止める度量がないと、言っても逃げられてしまうだけですから。

逃げた本人は一番損しているわけですが、そんなこと考えられないぐらい「いっぱいいっぱい」なのでしょうね。


残念ながら「相手次第」だと思います。
夫婦などでは、コミュニケーションを回復していくやりかたを指導することもありますが、友人同士の場合、やっぱり相手次第なのでは?

交流が断絶した場合、通常、儀式(挨拶など)→仕事(事務的な会話)→親交(雑談)→傾聴(相手の苦情などを聞く)→要求(こちらの意見を伝える)、という順に回復を目指しますので、

今できることは、挨拶程度を(返ってこないことを前提に)時々送ることぐらいじゃないでしょうか。

参考になれば。

投稿者 あづま : 2011年5月11日 11:10

先生の記事を読み、つい趣旨違いなことをコメントしてしまいました。
あまりにも個人的なことで申し訳ありませんでした。

そして忙しい中、返信していただきありがとうございます。

彼女はとても難しい人なので、
私から連絡することで逆にストレスを与えてしまいそうで心配です。
もう少し時間が経ってから、「元気にしてる?」程度のメールを入れてみます。
相手次第で焦らず、期待し過ぎず時間をかけることですね。

改めてありがとうございました!!

投稿者 N : 2011年5月12日 01:56

初めまして。いつも興味深く拝見しております。
今回の記事について、一点質問させていただきたいと思います。
もし、家庭の事情で体験した「叱られ」がすべて苦情のみにしかすぎず、
「本当の意味できちんと叱られた経験がまったくない」人の場合は、
どうなのでしょうか。
自分でなにか先生のご著書にあるようなセラピーなどで
解決していくのだろうか、と思ったのですが、どれが有効なのかが知りたいです。

あと、なんとなく、魔性の女、先生のコラムで言うところの回避依存症の人がこういう経験を実は根深く抱えてそうだなあと思いました。

投稿者 T : 2011年5月17日 21:47

Tさん

ご質問ありがとうございます。

この問題の解決策はなかなか、難しいと私も感じています。

たまたまラッキーにも、愛情を込めて叱ってくれる人を、大人になってからでもいいから、身近に体験できた人は、子供時代に足りなかったものを心に補って、きちんと成長していけるのだと思います。

それを受け止めて吸収するためにも、まず必要なのは「叱る」ことが愛情であるという認識を持つことです。それに気づくことが第一歩なのではないかと思います。

世界は、愛情にも満ちています。
それに気づくことが出来る。その感性が大事です。
そのためには、自分が「叱られた」と思っている体験を振り返ってみて、本当の意味での「叱る」と親の都合による「苦情」の違いを理解することから始めてみるのがよいと考えます。

また、このサイトの「浮気はなぜいけないのか」などの記事は、人生において何が大切なのか、何が正義なのかを自分で考えることを通じて、自分なりの行動の軸・規範を作ることを目指したものです。

こういう活動も、その意義・効果を考えると「叱る」と同等のものなのではないでしょうか。

アメリカではマイケル・サンデル教授のハーバード大学での授業がその形式で、日本でもNHKの「ハーバード白熱教室」で一躍有名になりましたが、

日本では、「新しい道徳」の著者で、初の民間人校長として有名になった藤原和博氏が、小学生相手に、かなり本気でこうした道徳の問題を考えさせる討論形式の授業を行っていました(テレビで見ました)。

このような取り組みも、真の意味で叱られた体験が足りない人の、心の糧になるのではないでしょうか。

投稿者 あづま : 2011年5月18日 11:35

初めてお便りします。
私の姉は幼稚園の時事情があって祖父母の養女になっていました。祖母から聞いた話ですがあるとき幼稚園に忘れ物をして、取りに戻るよう祖母が言ったら、迷い子になってやると言って出て行ったそうです
大人になってもそのままの言動で、こちらが怯えてしまうようなことを言って関心を引こうとします。
たとえば 今から私は死にます。探さないでください。という風に。
また生活しているものすべてが壊れてしまいます。
お風呂の蛇口までも、
靴は買ってから1週間でよれよれになってしまいます、
新しい洋服やバックなどもしらないうちに破れたり食べ物をつけたり、ボールペンのインクが付いたり、良かれと思って貸してあげるとなくしたり壊したりします、
私が貸さなきゃいいのですが、ついみっともなくて一緒に外出できないのでつい
貸してしまいます、
愛情を注いでもざるのようで、両親も匙を投げてしまい、すでに、他界して20年もたちました。
ほっといていいものか、本人はわざとじゃないから仕方がないと言っています。
どうしたらいいでしょうか?

投稿者 青ちゃん : 2011年12月 4日 21:29

青ちゃん

コメントありがとうございます。
これは、なかなかの難題ですね。
私が渦中にいても、きっと同じように悩むと思います。

>どうしたらいいでしょうか?
このご質問は、「何を」が欠けているのですが、何を今と変えたいのでしょうか?

お姉さんへの接し方でしょうか。

短いコメント文からですから、診断ではありませんし、責任も持てませんが、お姉さんは、愛情飢餓と、ひょっとすると発達障害もあるかもしれないですよね。

ざっと、対応方法を調べてみることを、まずはお勧めします。
但し、対応するために調べるわけではありません。

禅問答みたいですが…問題の大きさをざっと把握するために調べるのです。そして、最初に決めるべきなのは、

「私はどのぐらい本気で、姉と関わるか」

です。

親族のサポートは、とても難しいのです。その理由が、相手がかわいそうだと思い始めると、無限時間、無限責任で問題に巻き込まれてしまうから。

姉妹といえども、他人。
お姉さんの人生は、お姉さんのもの。

それを前提として、私はどう関わると決めるのか。

その基本姿勢がぐらぐらしていると、どんどん巻き込まれてしまいます。

どうすべきかの前に、「私はどのぐらい本気で、姉と関わるか」を自分の中で決めることが、大事なのではないでしょうか。そしてもしかすると、既に青ちゃんの中には答えがあるかもしれません。

青ちゃんが、色々悩みながらも、自分の決断をされて、進まれることを、心からお祈りいたします。

投稿者 あづま : 2011年12月10日 09:30




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