【ココヘル745】性癖を直す(9)|恋愛ドクターの遺産第二話

 

★女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学 745号 2017.1.12
 
こんにちは。あづまです。
いつも読んで下さってありがとうございます。
 
 
いよいよ今年から、大人の心理学コミュニティー
【ココアミ!】を始めます。
毎月の講座と、会員の交流(たぶん、話の合う人が多いはず)
そんな、学びと仲間作りの場になればと願っています。
 
ココアミ!
http://www.556health.com/sp/cocoami/
無料期間中の動画も本気で語ったものです!
体験だけでもぜひぜひ!
 
 
 
 
現在は、私の伝えたいセッションの理想を、
小説風にしてお伝えしようと、
作品を書いています。まあ、読みものとして
楽しんで頂ければと思います。
 
本作品は、フィクションですが、
症状、問題の原因、解決の指針などは、
実際に行われたセッションや、あづまの考えを元にし、
リアリティーを大切にして制作しております。
逆に悩みの内容などのディテールは全て入れ替えて
創作し、プライバシーに配慮しております。
作品ですので、ある程度の誇張・脚色がございます。
 
また、少しまとめて、解説を「ココヘル+」の方で書きたいと
考えていますので、物語だけではなく、心理学の学びがほしい、
という方は、そちらも合わせてご活用ください。
 
ココヘル+
http://www.556health.com/sp/e-zine/
 
 
【登場人物】
(現在の人物)
 ゆり子 父からノートをもらった。離婚するかどうか悩んでいる
 幸雄 ゆり子の夫。 仕事はできるが共感力のない人。
(ノートの中の人物)
 恋愛ドクターA ゆり子の祖父(故人) ノートを書いた本人
 なつを ドクターの助手
 まいくん 今回のクライアント 鎖骨にほくろの女性しか愛せない
 みきさん まいくんの奥さま
 
 
今回までのあらすじ
 
ゆり子は、祖父のノート「恋愛ドクターの遺産(レガシー)」を
読んで、心が軽くなったなど、効果を感じたので、父に送って
もらった残りのノート(箱入り)のうち、また一冊を開いた。
そこには、女性の鎖骨にほくろがある女性にしか興奮しない、
という性癖の男性のセッションが記録されていた・・・
そんなもの、治せるのか?といぶかるなつををよそに、
恋愛ドクターは、淡々とセッションを進め、まいくんの、
初めての性的興奮の体験が原因と探り当て、それを癒してしまった。
その後、女に感じる性的な興奮と、妻に感じる安心感を、
統合するワークを行い、解決した。
その後、なんとまいくんの奥さまが相談に見えたのだが・・・
 
 
恋愛ドクターの遺産(レガシー)
第二話 性癖を直す
 
 
第五幕 妻
 
それから一週間ほど経って・・・
 
「先生、どうして解決したのに、まいくんの奥さまが
いらっしゃるんでしょうか?」
「さぁ。解決したというのは、こちらの勝手な思い込み
なのではないでしょうかね。」
「では、何かまだ問題があるということでしょうか。一体何が?」
「なつを君、それはご本人がいらっしゃったときに聞けば
済む話です。聞けば済む話を勝手に推測しない!」
 
また怒られた。なつをは思った。勝手に妄想して、勝手に
推測して、ついつい先生に色々質問してしまう。いつもの
悪いクセだ。先生のこの落ち着きを、1割でも自分にほしい、
そう思った。
 
「なつを君、そろそろみきさんがいらっしゃいますよ。」
「みきさん・・・えぇと・・・」
「まいくんの奥さまです。」
「あ、そうでした。」
 
ノックの音がして、みきさんが入ってきた。
本名は舞鶴美紀。ドクターは親しげに「みきさん」と呼んでいる。
 
「こんにちは。」みきさんは小柄で可愛らしい感じの女性だ。
服装は全体的に地味だ。ダウンの入ったコート、というか
ジャケットを着ているが、落ち着いた茶系の色なので、
街ですれ違っても、とくに記憶には残らないだろう。
 
コートを脱いで、壁のハンガーに掛けた瞬間、その印象は
大きく変わった。胸の大きく開いた服を着ているのだ。
冬でも鎖骨が見えるようにしているのだろうか。なつをは
ついそんなことを思ってしまった。
 
ドクターとみきさんが着席して、セッションが始まった。
 
「みきさん、本日はご相談ありがとうございます。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
 
「今日こうして、ここにいらっしゃって、この時間を使って
頂いたことで、何がどうなったら、今日は相談に来た甲斐が
あったな、と思いますか?」
 
これはスターティングクエスチョンだ。なつをは思った。
セッションの始めに、今日の終わりにどうなっていたいのか
・・・これを「ゴール」と呼ぶのだが・・・、それを問うことで、
お互いに無駄な時間を使うことなく、有意義なセッションを行う
ことが出来る。これは、カウンセリング、とくに解決志向ブリーフ
セラピーという短期療法の教科書には必ず書いてある技法だ。
 
でも・・・なつをは以前、先生に質問したことがある「セッションの
方向性をきちんと決めるために、スターティングクエスチョンを
するんですよね?」と。先生の回答はこうだった。「まあ、教科書的
にはそうです。なつを君も、始めのうちはそういう目的でスターティング
クエスチョンを使って下さい。」と。
なつをが「では先生は今は違うんですか?」と尋ねたら、
「そうですね。今は少し違うかもしれません。なんと言うか、
儀式ですよ、儀式。白衣を着ると気持ちがシャキッとするでしょう?
そういうのと同じ。この質問をすると、さあ今からベストの
セッションをするぞ、というモードに入るんです。そう、
スポーツ選手でも毎回同じ動作をする人、いるでしょう?
そういうのと同じですよ。」ベテランは言うことが違う、
となつをは思ったものだった。
 
 なつをが過去の思い出に浸っている間に、みきさんは、
質問に答えていた。
「そうですね。実は、私にとって主人は大切な人で、
だから今は、こうして取り戻すことが出来て幸せだと感じている
のですけど、でも、ここに至るまでは、とてもつらかったです。
友達にも色々相談して「なんで別れられないの?」「なんで
『浮気はやめて』って言わないの?」と、色々言われました。
私の友達は、主人のほくろフェチのことを知らないので、十分状況が
分かった上でのアドバイスではないのですが、でも、キッパリ
言えない、自分の主張が出来ない、怖くて別れられない、
みたいな部分は、私自身の課題だと思います。」
 
「なるほど。結果的に別れずに夫婦がやり直せていることは、
良かったことだけれど、でも、ここに至った理由の中に
『ご主人さんが大切だから頑張った』以外の、『キッパリ
言えない』『自分の主張が出来ない』『怖くて別れられない』
といった、ネガティブな動機、というか・・・一般的な言い方
で言うと消去法的な感じ? があったことが、気になって
いらっしゃる、ということなのですね?」
 
「さすが先生。そうなんです。」
 
少し沈黙があったあと、ドクターは質問した。
 
「結果オーライ、ではありますよね?」
「はい。」
「ということは、今回の一連の『事件』というか、
夫婦問題に関して、何か後悔しているわけではなさそうですね。」
「・・・たぶん、そうだと思います。」
 
「では、このタイミングで、わざわざ、ご自分の心のクセに
取り組もうと思われたのは、どうしてですか? あ、いや、聴き方が
分かりにくかったですね。えぇと、ご自分の心のクセに取り組んで、
それが良くなったとしますね、そうしたら、生活や夫婦関係、
仕事など、実際の生活で、何が良くなると思いますか?」
 
来た!なつをは思った。多くのカウンセラーは、自分の内面に
向き合うのが好きだ。だから、内面に向き合って成長したい、
変わりたい、というクライアントが来ると喜んで食いついて
しまう。先生は少し違う。以前も、カウンセリングの技法を
教わっていたときに、先生からこう言われた。
 
「クライアントの中には、自分の内面的な問題をしっかり分析
して、これを治したい、というような相談の仕方をしてくる人が
います。でも、それを鵜呑みにしてはいけません。」
「えっ?間違っているからですか?」「いえ、大抵そういう人の
分析は、かなり合ってます。」「ではどうして・・・」「それは、
自己分析が趣味になってしまっている危険性があるからです。」
 
そう、心理分析が趣味の人につき合うと、ずっと、延々、あんな
問題もあった、こんな問題もあった、とやりつづけて行くことに
なるのだ。「まあ、そうやって趣味の人につき合うことで商売を
成り立たせているカウンセラーもいるので、彼らを批判するつもり
はないんですけどね。」と先生は言っていた。先生はあくまで、
実際の生活の中で、何かが良くなる、ということに責任を持ち
たいのだ。
 
みきさんは、しばらく考えて、こう答えた。「そうですね。
友達関係とか、あと、最近少しずつ仕事を始めているのですが、
職場の人間関係などで、ハッキリものを言えなくて、言いたい
放題言われて、あとで悔しくなることがあります。主人は・・・
色々ありましたけど、例のこと以外は、じっくり話を聞いてくれ
るし、とてもありがたいので・・・」
 
「なるほど。夫婦関係よりは、それ以外の人間関係で、
自己主張ができるようになりたい、そんな方向性ですね。」
 
「はい。そうです。」
 
「では、その方向で、一緒にとり組んでいきましょう。
よろしくお願いします。」
「よろしくお願いいたします。」
 
「早速ですが、みきさん、自分の言いたいことを言えない傾向は、
いつからですか?」
「小学生の頃は、わりと思ったことを口にする子でした。」
「そうなんですね。」
「はい。あぁ、思い出しました。中学校の頃に、父親が失業して、
色々ありまして、その頃から、言えなくなったような気がします。」
「なるほど。」
 
先生さすがだ、なつをは思った。
「(その症状・問題は)いつからですか」と問うのは、原因を探る
質問の中でも、基本中の基本だ。そして今回も、もう問題の原因に
たどり着いた。話し始めてまだ5分ほどしか経っていない。
それでもう原因の当たりがついているのだから、
今日も先生の質問の切れ味は最高だ。
 
 
 
(つづく)
 
 
こちらにもアップされています。
まとめ読みには便利かも・・・
あづまやすしのサイコロジーな毎日
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ご相談のご用命は、こちらから。
 
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◆ココヘル主催のワークショップ・セミナー一覧はこちら
 http://www.556health.com/work.html
 
 
◆編集後記
 
今日は鎌倉で体操。健康のためにもう3年以上になるかな。
帰りの電車の中で書いているんですが、ちょっと眠い・・・
 
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