【ココヘル749】婚難(2)|恋愛ドクターの遺産第三話

 

★女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学 749号 2017.1.23
 
こんにちは。あづまです。
いつも読んで下さってありがとうございます。
 
 
いよいよ今年から、大人の心理学コミュニティー
【ココアミ!】を始めます。
毎月の講座と、会員の交流(たぶん、話の合う人が多いはず)
そんな、学びと仲間作りの場になればと願っています。
 
ココアミ!
https://www.556health.com/sp/cocoami/
無料期間中の動画も本気で語ったものです!
体験だけでもぜひぜひ!
 
 
 
 
現在は、私の伝えたいセッションの理想を、
小説風にしてお伝えしようと、
作品を書いています。まあ、読みものとして
楽しんで頂ければと思います。
 
本作品は、フィクションですが、
症状、問題の原因、解決の指針などは、
実際に行われたセッションや、あづまの考えを元にし、
リアリティーを大切にして制作しております。
逆に悩みの内容などのディテールは全て入れ替えて
創作し、プライバシーに配慮しております。
作品ですので、ある程度の誇張・脚色がございます。
 
また、少しまとめて、解説を「ココヘル+」の方で書きたいと
考えていますので、物語だけではなく、心理学の学びがほしい、
という方は、そちらも合わせてご活用ください。
 
ココヘル+
https://www.556health.com/sp/e-zine/
 
 
【登場人物】
(現在の人物)
 ゆり子 父からノートをもらった。離婚するかどうか悩んでいる
 幸雄 ゆり子の夫。 仕事はできるが共感力のない人。
(ノートの中の人物)
 恋愛ドクターA ゆり子の祖父(故人) ノートを書いた本人
 なつを ドクターの助手
 かおり 相談者。彼氏いない歴7年 個性派の女性
 
 
恋愛ドクターの遺産(レガシー)
 
今回は、なかなか彼氏ができない、
結婚したいのだけれど、という女性が登場します。
 
題して「婚難(こんなん)」
 
解決の道筋も、(この女性と同じタイプで、当てはまる人には)
役立つはず。
 
というわけで、はじまり、はじまり〜
 
 
 
第三話 婚難(こんなん)
 
 
第二幕
 
「えぇと・・・かおりさん。」
「はい。」
 
「こんにちは。」ややぎこちない感じで、なつをが挨拶をしている。
「こんにちは。」様子見をするような感じで、かおりも挨拶をする。
 
「今日は、ドクターAは、少し用事で出ておりまして、ご連絡しました
とおり、一般的な質問につきましては、私なつをがさせていただきます。」
 
「はい、伺っております。」
そう、今日は先生が多忙のため、私が予めいくつか質問をして、事前に
情報収集しておくように言われているのだった。ある意味、
カウンセリングの一部を任されているわけで、とても緊張している。
 
「えぇと・・・かおりさん。」
「はい。」
「彼氏がなかなかできない、という問題だと伺っておりますが、
いないのは何年ぐらいになりますか?」
「7年ほどです。」
 
私は、ドクターから受け取った質問票に書き込みながら質問をしていった。
質問をしながら思った。いつも、先生はとくにメモをするわけでもなく、
どんどん質問をして、どんどん話を進めていくけれど、それでも、
ポイントを外すことは、ほぼない。それがいかに難しく、すごいこと
なのか、自分で相談者を前にして話を聞いてみるとよく分かる。メモを
取るペンが、指先のイヤな汗で少しぬるぬるしている。
 
私は頑張って質問を続けた。
「その後、恋人を作るための取り組みなど、何かしてみたことはありますか?」
 
「えぇ、何人かの友達や同僚、男性も含めてですが、意見を聞いてみて、
どうやら私は女らしくしていないというイメージらしかったので、
ファッション雑誌を買うようにして、服の選び方とか、お化粧の仕方とか、
女性らしくするように努力しました。」
「そうなんですね。いまはお綺麗ですよ。」
「ありがとうございます。」かおりは少し照れながら言った。
「でも以前はざっくりとした洗いざらしのシャツにGパンにすっぴん、
て感じで、スカートをはくようにしたのも、その頃からなんです。」
「・・・そうなんですね。」なつをの受け答えがまだぎこちない。
メモを取っているとどうしても間がおかしくなってしまう。
 
「ご自分で、この問題について、原因を考えたり、解決のための取り組みを
したことはありますか?」やや棒読みになりながら、質問票にそって
なつをは質問した。
「はい。先ほども申し上げたとおり、女らしくないことが原因だと、
知人から指摘されましたので、その点については、女性らしい服装や
振る舞いをするように、努力をしてきました。ただ、それでも、
その後、恋人ができないので、最近ではインナーチャイルドの課題が
何かあるのかな、と考えることもあります。」
 
(えと・・・本人が分析を述べたら、「もう少し詳しく教えてください」
と言って、さらに聞き出すように・・・と書いてあるな・・・)なつをは
質問票にある、先生からの指示を黙読して、次の質問を心の中で準備した。
 
「そのことを、もう少し詳しく教えてください。」
「はい。」かおりは話し始めた。
「先生のご著書や、ほかの心理学の本を読んだりして、色々勉強させて
いただいているのですが、そうすると、恋愛でうまく行かない背景には、
子供時代の生育環境の影響がある、と、大抵書かれています。私自身も、
子供時代に、両親が商売をしていまして共働きでしたので、寂しかった
思い出はかなりありますし、何か、いまの恋人ができない問題と関係ある
ような気がしまして・・・」
「なるほど。そういうことなんですね。」なつをはメモを取るのに必死だった。
(とても頭の良い方のようだ・・・そして、しっかりと考えて
いらっしゃる。私、ちゃんと記録できているのだろうか・・・)なつをは
理路整然と自分の問題について話すかおりに気押されて、また体中に
イヤな汗をかいていた。
 
ふう。先ほどの質問に関するメモを取り終えると、なつをが深呼吸をして、
次の質問に移った。
「お仕事は、何をしていらっしゃいますか?」
「仕事は、企業コンサルタントの会社で、司法書士をしています。
コンサルティングは主に社長を始めとしたメンバーが行っていて、
私は会社の設立登記などの法務を主にやっています。」
 
なつをは、メモを取りながら上目遣いにかおりをちらっと見た。
(結構やり手なんだ・・・キャリア系女子かぁ)
そんなことを思いながらメモを取るペンを走らせる。
「あ・・・なるほど、そうなんですか。お仕事はお忙しいですか?」
「そうですね。ずっと忙しかったんですけど、最近少し、後輩に仕事を
任せたり、適度に手を抜いたりすることを覚えまして、少し自分の時間も
とるようになりました。」
 
「えぇと・・・先生から、仕事が忙しい人の場合質問して下さい、
と言われているんですが・・・」
「先生、なかなか先読みする人ですね。」かおりはそう言ってクスッ
と笑った。
「いや、ほんと、そうなんですよ。先に何でも分かっているような、
そんな雰囲気で、でも実際、本当によく分かっていることも多くて、
どこまでが本当でどこまでがハッタリだか分からないことも・・・
あ、すいません、しゃべりすぎました。」
 
あー、これ、先生が聞いてたら怒られるだろうな。なつをは思った。
クライアントが自分の話をするのがカウンセリングの時間。カウンセラー側は
関係ない自分の話をしてはいけない、といつも言われていたのに、
つい余計なことを口走ってしまった。
 
「なつをさんって、面白いですね。」かおりは一気に表情がほころんで、
楽しそうな笑顔になった。
(まあ、緊張はほぐれたし、結果オーライかもしれない)なつをは思った。
 
「ご質問は、なんでしたっけ?」
「あぁ、すいません。ふたつあって、ひとつ目が、『仕事が忙しくなった
頃と、彼氏ができなくなった頃は、同じ頃ですか?』
 
もうひとつが、『お姉さまに頼りたい年下男子、みたいな男性が寄って
くることは、ありますか』です。」
 
「えぇっ」かおりは笑いながら言った。「お姉さまに頼りたい年下男子
・・・って、確かにそういう子が寄ってくること、割とありましたよ。
学生時代からかな。でも私、そういうの趣味じゃないんで、いつも
断っていました。」
 
「はい。」なつをは必死でメモをしていた。
「なんか、なつをさんって、かわいいですね。あ、失礼だったら
すみません。」
 
かわいいと言われて、なつをはなんだか恥ずかしくてからだが熱く
なった。さきほどから緊張がほぐれて、やっと乾いてきた指先も、
また少しぬるぬるしてきたような気がした。
 
「ええと、もうひとつ、なんでしたっけ?彼氏ができなくなった時期と、
仕事が忙しくなった時期・・・ですよね?」
 
「えぇ。お願いします。」
「社会人になってから、わりとずっと忙しかったので、時期が一緒か
どうかはよく分かりません。学生時代につき合っていた人と、27歳頃に
別れてからは、その後ご縁がなくて、今に至る、という感じですね。」
 
「はい。メモメモ・・・っと」
 
忙しくなった時期と、恋愛のパターンが変化した(この場合は彼氏が
できなくなったという変化だ)時期が同じかどうかを聞くのは、専門用語
では「共変関係」と言う。ふたつの出来事が共に起きるようになり、
また、共に起きなくなるとしたら、そのふたつには関連がある、と考えるのだ。
 
恋愛相談の場合、好きとか嫌いとか、感情の話が多く、結果、論理的に
あいまいな話が多いため、明確にAとBが相関しているかどうか、
ということを見つけることが難しい。そんな中で、ドクターが苦心して
考えたのが、出会いと別れの時期(これは本人が明確に覚えていることが
多い)を訊く、というやり方だ。
 
但し、こうした、明確に答えられる事実を質問するだけでは、
恋愛の問題は解決しない。
 
ロジカルシンキングは車で言えばハンドルみたいなもの。ロジカルのない
カウンセリングは迷走する。但し、アクセルではない。感情、気持ちを
扱う部分がアクセル。だから、ロジカルなだけのカウンセリングは、
まったく先に進まない。いつか先生が言っていた。
 
ひととおり、なつをがかおりに質問をし終えたところで、
ノックの音が聞こえた。ドクターが帰ってきたのだ。
 
(つづく)
 
 
 
こちらにもアップされています。
まとめ読みには便利かも・・・
あづまやすしのサイコロジーな毎日
https://556health.com/consultant/
 
 
 
 
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 幸せな恋愛・結婚・人間関係のための
 心のデトックスマニュアル
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ご相談のご用命は、こちらから。
 
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 個別に丁寧に、問題を紐解き、解決策を提案しております。
 https://www.556health.com/consulting.html
 
 
 
◆ココヘル主催のワークショップ・セミナー一覧はこちら
 https://www.556health.com/work.html
 
 
◆編集後記
 
この週末は矢野惣一氏の問題解決セラピスト養成講座を
再受講していました。そして今日は・・・平野友朗さんの
ビジネス実践塾公開収録。メルマガライティングの話でした。
 
土日は講座受講、そして今日。二日ぶりに帰宅します。
帰りの新幹線の中で書いてます。
 
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 ◆女と男の「心のヘルス」ー癒しの心理学
 祝!TBS・日テレ・フジテレビ出演(目指せNHK!)
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