感情のバランスはとれていますか?

 

 私がセラピーの時に注意していることのひとつに、「感情のバランスがとれているか」というものがあります。中でも特に、ネガティブな感情のバランスには注意を払っています。(ほかには、トータルでポジティブな心とネガティブな心とどっちに傾いているかってことも気にしていますが)
 
 ネガティブな感情のバランスのうち、私が特に注意しているのは、
 「怒り」「寂しさ」「不安」「悲しみ」です。
 
 バランスが崩れるパターンでよくあるのは、
 「怒り型」・・・怒りは出せるが、寂しさとか悲しみを我慢してしまい、表現するのが苦手。
 「怒り禁止型」・・・とにかく、怒れない。あるいは限界まで我慢して爆発して自己嫌悪。
 
 私は、セラピーで話を聞いているとき、「この人はどの感情が詰まっているんだろう」って自問しています。どうやら怒れないタイプかな、とか当たりをつけています。
 
 たとえば、男性恐怖があるという女性の場合、怒ることができないことが原因かもしれません。自分が不当な扱いを受けたときに、きっぱりと自分の主張をすることができれば意味もなく男性を怖れることはないのです。ところが、怒ったり、不平を言うことができない人の場合、決して自分に対して不当な扱いをしない、理解があって優しい、それでいて自分を守ってくれるときには強い男性を必死で探したりします。でも、そんな完璧な男性なんていないんです。不完全なんです。
 怒れない自分、無力な自分でも何とか交際できる相手を探そうと必死になるよりも、問題が起きたときにきっぱりと自己主張できる自分を作る方が、出会いの可能性は一気に広がるのです。
 
 そんなとき私は、代わりに怒ってみたりします。
 怒れない人は、大抵これまでの人生で、彼氏だけじゃなく他人に都合よく利用されてきているんですよ。不当な扱いを受けてもきっぱりと言い返せないから。これまでのひどい扱いを受けた話を聞いていくうちに、「あなたにこんなひどいことをするなんて・・・なんだか腹が立ってきました!!」とか言ったりします。
 え??怒ってもいいんだ・・・
 これが呼び水になって、不平不満を言えるようになる人がいます。
 大事な進歩です。
 
 
 逆に、いつも怒ってしまい、夫婦関係が悪化の一途をたどっているという女性の場合、別の感情が詰まっているのかもしれません。たとえば幼少時に寂しい気持ちにふたをして生きてきたかもしれません。両親が仕事で忙しくて、いつもカギっ子で・・・寂しい気持ちを感じていると辛くて辛くて仕方がないので、いつしか寂しい気持ちを感じること自体をやめてしまった・・・
 封印した感情は、消えてなくなるわけではなく、心の中でなにかもやもやしたものとして残ります。そして、厄介なことに、不安とか怒りとか、別の感情に化けて出てくることがあるのです。
 寂しい気持ち(=他人とのつながりを求める気持ち)を感じることを我慢してしまうと、人生自体が孤独なものになってしまいます。そしてますます寂しくなっていくのですが、感情が鈍くなっていますから、よく分からないんです。そして別の感情になって表に出てきます。
 旦那さんの帰りが遅いとき、もう心の底では寂しさの限界が来ていて、でも、寂しさを出せないので、怒りになって出たりします。「なんで帰りが遅いの!!!!」
 この感情は小さな頃から積もり積もった寂しさが怒りに化けたものなので、怒られた旦那の方は、なんでそんなに激しく怒られなければいけないのか理解できません。当たり前です。
 
 こんなケースでは、話を聞いていくときに「どんな気持ちでしたか」というふうに問いかけていきます。あるいは、その激しい怒りを「フォーカシング」を使って体で感じてもらいます。しっかりと心に意識を向けていくと、次第に寂しかったことが自分で分かってきます。こうして、ふたをしてしまった感情をふたたび取り戻していくのです。
 
 
 感情のバランスの崩れが、心の問題や人間関係の問題を引き起こすことは結構多いのです。私はセラピーで「ありのままの感情を感じてくださいね」という気持ちで話を聞いています。
 話の内容は、すぐ忘れてしまうのですが、どんな感情を表現していたかは、かなり後まで覚えています。そこが大事なところですからね。
 
 「怒り」「寂しさ」「不安」「悲しみ」
 
 あなたも、どれかをいつも我慢するクセがついていませんか?
 バランスがとれた感情を取り戻すと、生き生きした心で毎日を過ごすことができます。


 

「感情のバランスはとれていますか?」への2件のフィードバック

  1. いつも素敵な解説、どうもありがとうございます。
    心からの感謝を申し上げたくて。。。

  2. guiguiさん
     
    コメントありがとうございます。
    これからも、頑張って書いていきますね。

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