アサーション 【あさーしょん】

 

アサーション 【あさーしょん】 (assertion)
 
 アサーションとは、自己主張する方法のことです。アサーティブ、アサーティブ・コミュニケーションなどとも言われます。アサーションの考え方によれば、自己主張する権利は基本的人権と考えられています。但し、相手がその主張をどう受け止め、どう行動するかは相手の自由であり、こちらができるのは伝えることだけで、相手を操作することはできないということも大原則です。
 アサーションの考え方によれば、主張のしかたには3種類あります。
1.非主張的
2.攻撃的
3.アサーティブ
 1は、自分の考えを言わない、自分を偽って言いたいことを言わないという対応。これは「非主張的」と呼ばれ、不満をため込みやすい対応です。
 2は、自己主張しているため、アサーションとよく混同されますが、怒る・ガミガミ言う・責める・なじる・泣く(感情的に責める)・相手を否定する・嫌味を言う・脅す、などの相手を傷つけ、支配するようなコミュニケーションの方法を言います。自己主張はしていますが攻撃的で、当然うまく行かないやり方です。
 3のアサーティブなコミュニケーションは、お互いの関係がうまく行く上手な主張の方法です。
 
 上手な(アサーティブな)自己主張のしかたにはDESC法が有効だと考えられています。
D(Describe:具体的に説明する。主観を交えず、客観的で具体的に状況を説明する。)
 例:「先週、あなたは、毎日夜10時すぎに帰ってきたよね?」
E(Express:(気持ちを)表現する。ここでは主観的に、素直な気持ちを表現する。)
 例:「毎日一人で夕食を食べて、すごく寂しかったし、不安だったんだよ?」
S(Specify:特定の提案をする。相手が実行できそうな具体的な行動の提案。)
 例:「お仕事頑張ってくれてるのは分かってる。遅くなるのは仕方ないよね。
    でも、帰れない日はご飯の時間にメールちょうだい。あと、週に1日ぐらいは
    一緒にご飯食べようよ?」
C(Choose:選択する。相手の回答がYesの場合のよい結果と、Noの場合の再提案。)
 例:「そうしたら、毎日今より安心して生活できると思うの(Yesの場合の結果)。
    もし無理だったら、やっぱりあなたとお話ししたいから、週末でも、朝でも、
    時間とれない?(Noの場合の再提案)」
 
 実は、相手はあなたのことをよく分かっていないことがあります。ですから、こうしてちゃんと言葉にして伝えることが大事なのです。アドリブで言える人はいいのですが、始めは中々言えないでしょうから、伝える前に何度か練習してみた方がよいと思います。なれていない人は、始めは紙に原稿を書いて何度も読み、不自然なところは修正してから臨む方がよいでしょう。
 
 既に、あなたが攻撃的なコミュニケーションで相手を傷つけてしまったあとの場合は、アサーションの効果が出ないことがあります。相手は既にあなたに対して警戒し、心を閉ざしているのです。この場合は、たとえ相手が問題を起こした側だったとしても、まず傷つけたことを謝ることから始める必要があります。相手があなたのために自発的に努力しようと思わなければ、問題は解決しないのです。
 あなたが正しくて、相手が間違っているという結論を得ても、二人は仲良くなれないのです。離婚したいのなら、正しさを主張して慰謝料をしっかり取るという戦法もありかもしれませんが、それはケンカの方法であり、別れにつながる道です。
 関係を修復するためには、現実的にものを見て、正しいかどうかは一旦脇へ置いておいて、関係修復のための行動をとり続ける必要があります。
 
 アイメッセージとアクショントークも同様のコミュニケーションの方法です。合わせて参考にしてみてください。
 
 なお、中には自分の問題を全く反省せず、迷惑をまき散らすタイプの人もいます。そのような人への対処は、本当に難しいと思います。ここに記事として書いてもおそらく実践できないでしょう。個別にご相談ください。