心理セラピーで、訊くのは誰?答えるのは誰?

 

私は、職業柄、色々な人に自己紹介したり、飲み会があったりすると、恋愛や心理の話で質問責めに遭うことが結構あります。
 
日頃抱えている悩みを解消するために、一生懸命質問してくださるんですが・・・
 
 
そのときに、よくお答えしていることがあります。
こんな感じで。
 
「心理セラピーでは、私が質問し、あなたが答えます。
 今は逆に、あなたが質問して、私が答えています。
 
 私が答える「知識」があなたの役に立つこともありますが、
 もっと大事なことがあります。
 
 それは、あなたの中から本心を引き出していかないと、
 問題は解決しないということです。
 
 たとえば、「あなたは(未来の)彼にどんなことを望みますか?」
 ということから始まり、もっとネガティブな内容に踏み込むこともあります。
 
 この場(飲み会)で『お父さんとお母さんは、仲が良かったですか?』とか、
 『ちなみにお母さんみたいな生き方をしたいですか?』とか。
 
 プライバシーに関わることを聞くのは難しいと思います。」
 
 
心理セラピーにおいて大事なことは、
「私が質問し、あなたが答えること」です。
 
もちろん、セラピーの現場でも、私が質問に答えることもあります。しかし、私が答えるばかりでは、本当の答えにはたどり着かず、したがって問題の解決が難しい、というのが私の考えです。
 
セラピストや占い師をはしごしても、なかなか問題が解決しない場合、セラピスト側の技量の問題ももちろんゼロではないでしょうが、「自分のことを話すよりも、アドバイスをもらおうと質問ばかりする」というクライアント側の姿勢にも、原因の一端がある場合があります。
 
このように、心理セラピーの効果が出にくいとき、「他人を前にすると本音で話しにくい」という気持ちを持っていることが原因の場合が少なくありません。
そのような場合電話対面とどちらが話しやすいか選択して頂くことも大事ですし、予め「緊張しやすい」と言っていただくことも、セラピストの良い対応を引き出すために有効です。
 
但し、緊張が非常に強く、なかなか自分のことを話せない場合は、本題の問題にとり組む前に「他人を前にすると本音で話しにくい」という問題にまずとり組み、その後、本当に解決したい問題にとり組んだ方が、結果的に近道のこともあります。
 
また、言いたくない過去の経験を洗いざらいしゃべらされるのではないか、という怖さを感じてしまう場合、「今は言いたくない」と言ってくだされば、対応いたします。具体的なことを(もちろん言えるなら口に出した方が良いのですが)聞かずに、過去の経験を取り扱うことも可能ですので。
 
いずれにしても、心理セラピーというのは、あなたが、あなたの本心と触れるための時間です。セラピストはそのために有効と考えられる質問を投げます。そしてあなたが自分の心と触れて、答えます。
あなたが頭で色々考えて質問し、それにセラピストが答えるというスタイルでは、セラピーの本当の効果を発揮することが出来ない、ということを頭の隅に置いておいていただけると、良いと思います。