お笑い芸人河本氏がつるし上げられた件についての違和感2

 

お笑い芸人河本氏がつるし上げられた件についての違和感の補足です。
 
先の記事を公開してから、ツイッター等でコメントを頂いて、また考えました。
 
 
まず根本的な問いとして。
 
国として必要なことは、
河本氏のような特に高額な所得の人の家族だけ、
生活保護費を返還させることなのでしょうか?
 
少なくとも兆円単位の資金を返還してもらい、必要な人に回そうと思うなら、
おそらく、年収で500万円ぐらいの人にも、親族の面倒を見てもらうことを依頼し、多くの人が国に頼らずに生活をしていく形にする必要があるんじゃないでしょうか。
 
そういう観点で言うと、
小宮山厚生労働相のやり口(なのかどうかは定かではありませんが)は、醜悪だと思います。
 
つまり、
 
河本氏は確かに、おかんねたで稼いでいるし、高額所得者で、それで母親が生活保護を受給しているのは、ちょっとおかしい。これは普通の常識で考えて、そうだと思うんですね。
 
しかし、こういう特殊な事例をつるし上げることと、
生活保護費を、できるだけ家族に負担してもらって、国が面倒見なければならないケースを出来るだけ減らそうという試みは、ほとんど関係がないと思うのです。
 
 
先の記事で書いたように、親の面倒を見たくない、という人がいたとして、全然別の場所で生活している。というときに、親の扶養を義務化できるのか、というと無理だと思うんですね。
 
たとえば、先に書いたように、ひどい親だったと。絶対にイヤだと。
そういうケースは同情するから、免除する。
 
と、こうなったら、親のことが好きかキライかという、極めて主観的な理由で義務が免除されるという、ざる法のできあがりです。
 
 
みんな、私は親が嫌いです、って言えば扶養義務が免除されるわけだから。
そんなルールはあり得ないですよね。
 
 
そうすると、年収や扶養している子供の人数などで条件を区切って、
扶養すべき条件の人は、完全に厳密に義務化する、となるでしょうか。
たとえば年収○百万以上だと扶養義務がある(色々控除の条件がつくでしょうが)など。
 
条件に当てはまったら、どんなに親と仲が悪かろうが、絶対に扶養せよと。
これも、行政の担当者が義務化は難しいと言っているように、無理だと思うんですね。
 
 
つまり、線引きのしようがない話なんだと思うんですね。
 
こういう場合、何か、合理的なインセンティブを作るなり(たとえば、親を扶養した人は、それにかかった費用の、かなりの割合を、年金の積み立てと見なして、本人の年金の増額につながるなどの仕組みとか、大幅な税金の控除があるとか)して、
 
自主的にやりたくなる仕組みを作る必要があると思うんですね。
 
あるいは、大前氏が指摘していたように、生活保護を現物支給にして、本当に最低限の生活を保障するための、セーフティーネットとして使い、ズルして金を稼ぐことは不可能にしておくなど。
 
 
それで、
 
そういうしっかりと考えて工夫するところをお休みにしていながら、
有名人という「逃げられない人」をつるし上げて、
 
私は仕事をしていますよ、というアピールをしている。
 
その構図が、醜悪だと言っているわけです。
 
 
まあ、河本氏は、有名人になったらそうやってつるし上げられやすくなるわけですから、脇が甘かったと言わざるを得ませんが。
 
しかし、脇が甘かったところを、小宮山厚生労働相に、いけにえ(スケープゴート)として利用されてしまった。
 
これが、今回のことの本質じゃないかと思うわけです。
 
 
まあ、河本氏のお母様は、生活保護費を返還したほうがいいとは思いますが、一般の人の目をそこだけに向けさせることが、今回のニュースの本質だと思うんです。だから、私たちがもし、そこで思考を止めてしまっては、ずるい厚生労働相の思うつぼだと思います。
 
その先、あなた(小宮山厚生労働相)は、有効な対策をちゃんと打っているのですか?
というところに、目を向け続けることが大事だと思います。
 
目くらましにだまされてはいけないと思うのです。